在宅医療に従事する薬剤師は、全国的で不足。医療福祉関係者との連携も課題

在宅医療に従事する薬剤師は、全国的で不足。医療福祉関係者との連携も課題

一般的に「在宅医療」とは、高齢者が自宅や病院外の施設で療養し、医師の往診を受ける状態を指します。薬剤師は医師との連携のもと、一包化調剤や服薬状況の改善、残薬整理など多岐に渡る業務で在宅医療に関わっています。

医師や看護師、介護スタッフのみではなく、薬の専門家である薬剤師が在宅医療に携わることで、服薬状況の悪化や副作用のトラブルなどを防止し、薬の適正使用の推進、患者さんのQOLの向上に貢献できます。

しかし、在宅業務に対応可能な薬局や薬剤師の数はまだまだ不足しています。薬剤師が在宅訪問業務を行っていること自体、患者や医療・介護関係者に充分に認知されていない、在宅訪問業務が可能である薬局の情報が周知されていないなど、多くの課題があります。

医師や看護師、ケアマネージャーなど、他業種との連携が不可欠であるにもかかわらず、在宅医療における薬剤師の役割が理解されていない現状があります。非協力的な医師や看護師・介護スタッフの無理解によって、服薬治療のトラブル、業務への支障も起こり得ます。

これからの在宅医療において、薬剤師の重要性はますます高まっていきます。全くの未経験でも、ファルマスタッフなら教育体制の充実した職場や、少ない日数からでも在宅業務ができる職場を探せます。

高齢者施設・在宅の薬局業務の内容や、医師との連携・報酬算定基準

在宅医療とは、自宅や介護施設・老人ホームなどで、医師の往診を受けながら療養したり、病院で定期的に処方を受けて投薬治療を続けるなど、病院外で行う医療全般のことを指します。

しかし、日本国内で在宅医療を受けている方は6万人以上と言われており、その80%は高齢者であることから、一般的に「在宅医療」という場合は高齢者が自宅や病院外の施設で療養し、医師の往診を受ける状態を想定しています。

薬の運搬および自宅・施設での服薬指導、飲み忘れを防止するための一包化調剤、薬の粉砕など嚥下困難の患者さんに対する服薬状況の改善、そして残薬の整理など、在宅医療において薬局が行う業務は多様にあります。

在宅医療を行う際、薬局は在宅患者訪問薬剤管理指導料(医療保険)と居宅療養管理指導費(介護保険)のいずれかを算定できます。患者さんが介護認定を受けている場合は、居宅療養管理指導(介護保険)を優先とし、医療保険ではなく介護保険を使用します。

どちらの管理指導も医師の指示のもと、管理指導計画書を作成し行います。医師が通院困難であると認めた患者さんに対して訪問し、訪問後は医師に報告書を提出します。このように、薬局の在宅業務には医師との連携が必須です。

在宅医療で薬剤師が担う役割とは?

少子高齢化社会の進行により、在宅医療は急激に増えています。以前は医師のみ、もしくは医師と看護師のみで往診や処置、そして投薬まで行い、あとはケアマネージャーや介護担当者だけで在宅医療をやってきたと言えます。

しかし、薬の専門家である薬剤師が在宅医療に関与しなかったために、処方せん通りに服薬できない、飲み忘れで薬が大量に余ってしまうといった服薬状況の悪化や、薬の使い方の無理解による副作用が起きた事例は多いです。

特に多い問題点は「薬の飲み忘れ」です。高齢化により複数の疾患を抱え、服用する薬の種類が増えれば、いつ何を飲めばいいのかを患者自身が把握するのが難しくなります。認知症患者の場合は薬の飲み忘れを自覚できないため、患者の家族から薬の管理を依頼されることもあります。

こうした場合、可能な限り薬を一包化して飲みやすくしたり、市販のおくすりケースなどを利用して朝・昼・晩で飲む薬を整理したり、カレンダーに印をつけて服用日を記録するなどの工夫で飲み忘れを防止します。それぞれの薬の必要性や副作用を、患者自身や家族、介護担当者に説明することも重要です。

その他、薬剤の性質や保管について指導する、複数の病院から同じ薬効の薬が処方された場合は状況に応じて減薬を医師に問い合わせるなど、薬を安全に使用できるように管理します。総じて、薬の適正使用を進めることにより患者さんのQOL改善に貢献するのが薬剤師の役割です。

薬剤師の往診における課題とは?

薬剤師が在宅医療に携わるようになって数年経ちますが、依然として多くの課題があります。まず、在宅訪問業務に対応できる薬局や薬剤師がまだまだ不足しているという点です。

配達・訪問業務を行う薬剤師の確保や、一般的な外来業務との両立など、薬局の経営における負担は大きいにもかかわらず、それに見合った対価が得られず、在宅業務は割に合わないと敬遠する薬局経営者も少なくありません。

その上、麻薬や無菌調剤が必要な製剤など扱いが特殊な薬剤や、おくすりゼリー、おむつのような介護用品を安定して供給できる、在宅業務に適応した薬局設備・運営体制を整えていくことも課題の一つです。

さらに、特に中小規模の薬局では薬剤師そのものが不足している現状、在宅業務の知識・経験を有する薬剤師が圧倒的に足りていません。24時間・365日体制の対応を要求され得る在宅医療では薬剤師の負担も大きく、充分な人手を確保するのは難しいと言えるでしょう。

その他、薬剤師が在宅訪問業務を行っていることがそもそも知られていないなど、患者や医療・介護関係者への周知・理解不足があります。在宅訪問業務が可能である薬局の情報が、医療・介護現場に充分に出回っていないなどの問題もあります。

在宅ケアスタッフは、訪問薬剤師の役割を理解していない可能性が高い

医師や看護師、ケアマネージャーなどとの他業種連携は、薬剤師が在宅業務を円滑に行う上で必須と言えます。しかし実際には、他の医療スタッフや在宅ケアスタッフが訪問薬剤師の役割を理解していない事例は残念ながら多数あります。

高齢化が進む中で、ポリファーマシー(多剤併用の患者で、必要以上の服用で薬による有害事象が起こっている状態)という問題は避けられず、在宅医療においても例外ではありません。本当は症状が落ち着いているのに、医師に言われるがまま漫然投与されているケースが在宅医療でも多く見られます。

ポリファーマシーの改善も、在宅業務において薬剤師が担う役割の一つですが、業務の多忙さや、処方削除を躊躇する医師の根本的な姿勢により、協力を仰げない場合が少なくありません。薬剤師は処方に口を出すな、と言わんばかりの応対をされてしまうこともあり、信頼関係の構築が難しいこともあるのが現状です。

また、介護施設で勤務する看護師には入居者の薬の管理を任されていますが、独断で服用方法を変更したり、薬を中止してしまうこともあります。経験に基づく有益な判断もありますが、中には薬が効きすぎているようだからと、徐放製剤を勝手に分割して半錠で服用させ、あとから薬剤師が発見するなど、大変危険な事例もあります。

介護職員に対してもまだまだ訪問薬剤師の意義が伝わっていない場合が少なくありません。経腸栄養剤など、重たく持ち運びしにくい薬剤だけを薬剤師に届けさせ、他の薬は薬局に取りに来るなど、単に『薬を配達してくれる人』としか認識されていないことも実際にあります。

少ない日数から勤務可能な、在宅医療現場でのお仕事を探すなら、日本調剤グループのファルマスタッフに登録を。

今後ますます在宅医療の需要は増加し、薬剤師の必要性も高まるでしょう。在宅業務における薬剤師の重要性を、医療・介護スタッフや患者さん及びそのご家族に伝え、薬剤管理を向上させるためにも、より多くの訪問薬剤師の活躍が期待されます。

しかし、全く経験がない状態から、いきなり在宅業務にどっぷり関わるというのは不安がありますよね。少しずつでも知識や経験を増やしていくなら、ファルマスタッフで在宅業務のある職場を探しましょう。

ファルマスタッフなら、在宅未経験からでも確実にキャリアを積めるよう、現場で使える実践的な知識や心構えを学べる、教育制度・研修が充実した調剤薬局をご紹介できます。また、施設在宅は個人居宅の訪問に比べ負担が軽いため、在宅医療は初めてという方にオススメしています。

専任コンサルタントとの個人面談で、これまでのキャリアや希望する条件に基づいて、最適の職場をマッチングしてくれるから安心です。職場の実際の状況をふまえてのアドバイス・サポートを受けられます。

また、ファルマスタッフなら派遣就業の案件も充実しており、少ない日数からの勤務も可能です。在宅業務に取り組む薬局は人手が足りないこともあり、派遣薬剤師でなら高時給で働くこともできます。


薬剤師さん必見!残業が少なく、プライベート時間が取れる、職場探し5つの秘訣
薬剤師さん必見!残業が少なく、プライベート時間が取れる、職場探し5つの秘訣
高収入の女性薬剤師がなかなか結婚できない3つの理由
高収入の女性薬剤師がなかなか結婚できない3つの理由