医療刑務所の薬剤師業務は、調剤薬局と同様ながら、国家公務員級の福利厚生と待遇アリ
医療刑務所に従事する薬剤師の業務内容は、一般の調剤薬局の作業内容と同様に医師の処方箋に基づき、薬剤を処方する事が主な業務になります。刑務所での勤務だからといって受刑者と接する事はほとんどなく不安的な要素はありませんし、国家公務員としての扱いになるので安定した給与を得ることができます。
精神・身体疾患のある受刑者を収容する医療刑務所での勤務は、怖い・危険というイメージやトラブルの不安を持たれがちですが、実際には一般的な調剤薬局と勤務内容はほぼ変わらず、受刑者とコミュニケーションを取ることもあまりありません。
精神疾患や薬物依存の受刑者も収容されていて、専門的な知識が必要とされます。また受刑者の高齢化も進み慢性疾患を抱えているため、適切な健康管理も薬剤師に求められます。
医療刑務所で働く正社員は国家公務員に準ずる勤務時間・休日・年収となります。朝8時頃から夕方5時頃までの勤務で残業もほとんどなし、土日の週休二日制で、年収は600〜700万円ぐらいまでが相場です。福利厚生も充実しています。
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目次
刑務所の薬剤師の仕事内容は、一般的な調剤薬局とほとんど変わらない。違いは直接服薬指導をしない点。
医療刑務所とは、一般の刑務所では収容できない、精神上あるいは身体上に何らかの疾病・障害がある受刑者を収容し、治療を行う刑務所です。全国に4カ所(八王子、岡崎、大阪、北九州)あり、医師・看護師・薬剤師などの医療従事者が所属しています。
総合病院と同水準の医療行為が行える施設で、薬物やアルコール依存症など、精神疾患のある受刑者が主に収容されます。八王子医療刑務所と大阪医療刑務所は身体に疾病がある受刑者も収容対象となっています。
こういった医療刑務所で薬剤師として働くとなると、受刑者が相手だから怖い・危ないのでは?トラブルが起きたら?と不安に思うかもしれません。ですが実際には、勤務場所が刑務所といっても、基本的な仕事内容は一般の調剤薬局とほぼ変わりません。
ただ、一般の外来患者さんと違い、刑務所内では受刑者の行動範囲はかなり制限されています。よって薬剤師が直接、窓口を通して患者さんに服薬指導をしたり、コミュニケーションを取ったりすることはほとんどありません。
したがって、服薬指導をせず医師の指示通りに、処方せんに沿った調剤や処方をするのが主な仕事となります。特殊な場所で働いているのでそれに見合った手当が出る、ということはありません。
精神疾患を抱えていたり、薬物依存症になっている患者の対応は求められる。
医療刑務所には、ケガや精神疾患により治療が必要な受刑者が収容されていますが、約6割の患者さんが投薬治療を受けていると言われています。また、約2割の患者さんに精神科領域の薬が処方されているとも言われています。
麻薬などの薬物中毒やアルコール依存症、摂食障害などの受刑者も収容されます。こういったことから、精神科薬物及びその療法の知識や、薬物依存に関する知識が患者対応の際に必要となるでしょう。
また、刑務所では収容者の高齢化により、慢性疾患をいくつか抱え、使用する薬の種類と量が増えているケースも多く見られます。よって薬の飲み合わせのチェックや誤飲の防止など、適切な健康管理を行う必要があります。
さらに、医療刑務所では医薬品に対する予算に限りがあり、また薬剤依存を避けるため、処方できる薬にも制限があります。これらの事象を踏まえながら、適切な薬物治療のために薬を扱う柔軟性や応用力も求められるでしょう。
海外では受刑者の薬物治療の指針が定められていますが、日本では依然としてそこまでのマニュアル整備に至っていません。精神科薬物の調剤経験や、高齢者を対象とした在宅医療などの知識がある方は特に需要が高いと言えます。
土日休み、17時退勤可能。国家公務員と同等の待遇で勤務可能なのが魅力
医療刑務所で働くメリットとして、正社員なら身分が国家公務員となり勤務時間や休日、年収がそれに準ずるものになります。朝8時頃から夕方5時頃まで勤務し、残業もほとんどありません。土日の週休二日制で、祝日も含めカレンダー通りに休めますし、年末年始や夏季休暇などを含めると年間休日が124日前後となります。
年収は400~500万円くらいが相場となっています。残業がほぼないため手当などもつかず、一般的な薬剤師に比べるとやや低めかもしれません。公務員なので昇給は年功序列制で、600〜700万円ぐらいまでが限界と思われます。
ですが扶養手当や住宅手当、地方手当などがつきますし、産休・育休といった福利厚生も完備されています。退職の際にはまとまった金額の退職金を受け取ることもできます。民間企業と違い、倒産やボーナスの大幅カットなどもありません。
刑務所は駅近の便利な地域にあることが少なく、交通の便があまり良くないところに建てられているのが一般的です。そのため交通費全額支給、あるいはマイカー通勤可能となっています。
勤務時間が規則的で残業もなく、土日祝が確実に休めるので、プライベートを重視する方や家事・育児と両立させたい方に適した職場といえるでしょう。給与がやや低めでも、公務員なので安定して働けるのも魅力です。
医療刑務所の薬剤師求人事例をいくつかご紹介します。 まず岡崎医療刑務所の薬剤師求人です。こちらでは、過去にパートの薬剤師の募集がかかっていました。9時から16時までの勤務で、土日祝休み。平日で週何日か勤務できるようなパートさんの募集です。 パートでありながら、時給2900円出ます!4週20時間以上勤務した場合は雇用保険・労災保険・賠償保険がかかりますし、1週30時間以上の勤務で社会保険の適用も受けられます! 実務経験は問われないので、総合病院の勤務経験のある方であったり、調剤薬局での勤務経験のある方は比較的容易にに内定が取れます。 八王子医療刑務所では過去に正社員の求人が出ていました。 業務内容としては、調剤及び医薬品管理と一般的な調剤薬局での勤務、または病院内薬局における勤務地の業務内容と大差はありません。 月給は30万円後半ほど、賞与は年2回合計4ヶ月分・年収で500万円程度から600万円程度の支給が一般的なようです。また住宅手当・扶養手当が出ます。 公務員扱いですので、こういった福利厚生の手厚さは魅力ですが、引っ越しが伴うケースがありますので、家庭であったりお子さんの状況を考えながら、医療刑務所での勤務を選択するかどうか考える必要があります。 勤務時間は、8時半から17時まで土日祝休みは保証されていますし、残業時間は少ない傾向にあります。ハローワークだけでなく、薬剤師専門の転職サイトに相談をすると、募集状況の確認が楽。
刑務所で働く医療従事者の需要は高いにもかかわらず、やはり特殊な職場なので敬遠されがちで、実際の人手は不足しています。そのため必要最低限の調剤経験があれば採用されるようです。幅広い処方を受け持つので、勤務する中で総合病院レベルの知識を身につけられると考えられます。
医療刑務所で働く薬剤師は国家公務員と同等の法務技官(作業専門官)として採用されますが、応募資格に国家公務員試験の合格などの制約はありません。また特に年齢制限もなく、何才でも応募することができます。
医療刑務所の薬剤師求人は、調剤薬局やドラッグストアのように数が出ているわけではありません。全国のハローワークや一般的な求人サイトでも探せますが、特殊技能の求人に当たるので、薬剤師専門の転職サイトを利用する方が効率的です。
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