薬剤師の勉強は薬についてだけではない!本当に必要な勉強とは?

薬剤師の勉強は薬についてだけではない!本当に必要な勉強とは?

勉強が必要と言われている薬剤師。かつては薬についての勉強をすれば済んでいましたし、認定薬剤師も取得して何かできることが増える資格ではありませんでした。しかし、これまで薬局の中に留まってきた薬剤師も病棟配置や在宅医療が進んできたことで業務内容に変化が生じてきています。

時代と共に変わっていく薬剤師の姿に合わせて、新人薬剤師や患者さんからの疑問からヒントを得て常日頃勉強をしたり、指導箋など身近なツールを使って勉強を行うことが大切です。

また、かかりつけ薬剤師制度が始まり、認定薬剤師を持っていることで出来る仕事、もらえる報酬が出てきました。更に変化していく医療体制から遅れることなく、時代に合わせて勉強していくことが大切ではないでしょうか。

薬だけを勉強するのではなく、日々の業務から学ぶ実践的知識が必要となる

「薬剤師は日々勉強をしなければならない」。学生時代、あるいは社会に出てから、こんなことを言われたり言ったりした覚えのある薬剤師は少なくないのではないでしょうか。医療業界の日々の進歩は目覚ましく、かつて薬局で薬を調剤することが主な仕事だった薬剤師も、医療業界の進歩や変遷に伴い、その姿を大きく変えつつあります。

病院の薬剤部でひたすら調剤をしていた薬剤師は今や病棟に配置され、服薬指導はもちろん輸液調整なども徐々に「薬剤師が行うべき業務」となりつつあります。医療チームのメンバーとなっている病院薬剤師も増えてきました。薬局薬剤師は在宅医療が増えてきたことから、薬局ではない施設や患者宅での服薬指導や薬の管理業務にも重きを置かれるようになっています。ドラッグストアで特に多い面調剤も幅広い知識が求められる業務と言えるでしょう。

では、薬剤師に勉強は必要でしょうか。日々新しい医薬品の情報を仕入れ、知識をアップデートし、正しい用法用量で薬が使われるようにする。それももちろん必要な勉強と言えます。しかし、それだけでは対応できなくなりつつあるのが昨今の薬剤師です。他職種と連携する業務が増えてきていることから、例えば栄養に関する知識や承認予定の薬の情報なども必要といえます。つまり、勉強は必要ですが、その内容が変わってきているのです。

新人から患者さんからの質問が来た時こそ勉強するチャンス!

とはいうものの、日々の業務に追われてなかなか勉強にまで手が回らない方も多いでしょう。そこで、仕事をしていく中で勉強するきっかけを見つけてみてはいかがでしょうか。例えば新人薬剤師が入ってきた場合。調剤の基本から、職場での決まりごとまで、業務に関する様々なことを教えると思います。

時には新人ならではの「なぜ」が出てくることもあるでしょう。自分とは違った視点からの疑問に答えられなかったときこそ勉強のチャンスです。そこで調べ物をすることで自分自身も新たな知識を身につけることが出来ます。

また、患者さんからの質問に回答することも勉強のきっかけ作りになります。特に、Yahooなどの検索からエビデンスのないサイトにたどり着き誤った情報を仕入れたことで不安に陥る患者さんも少なくありません。自らが服用している薬が「飲まないほうが良い薬ランキング」に入っていた、なんていわれることもあります。

薬剤についての知識を伝えるだけでなく、自らの体験談やちょっとした生活の知恵などを交えながら質問に対し、正しく丁寧な回答をすることで、患者さんともよりよい関係を作りながら幅広い知識を身につけることができます。

病院でも、薬局でも、勉強法は大きく異なりません。ちょっとしたきっかけを見逃すことなく、細かい知識を積み重ねていくことで結果的にはそれが「勉強する」ということにつながっていきます。「仕事が忙しくて勉強する暇がない」なんて言わず、「仕事の時間が勉強の時間」となるように変えていってはいかがでしょうか。

指導箋は勉強道具!身近にあるツールから学ぼう

インターネットが普及し、誰もが様々な情報を得られるようになってきました。前述したように、エビデンスのない情報も氾濫し、薬に対してあらぬ誤解を持つ人も少なくありません。それは決して放置していいものではなく、薬剤師が専門科としてDI情報を正しく伝えていく必要があります。

とはいえ、一人ひとりの患者さんへの服薬指導に多くの時間をかけるのは難しいですし、何より口頭で正しい情報を正確に伝えることも非常に難しいと思われます。患者さんによっても非常に正確に話を覚えていてくださる方もいれば、なかなか伝えたいことが伝わらない方もいるでしょう。

そんな時におすすめなのが、メーカーが出している指導箋です。もちろん対象は患者さんですので薬剤師さんが情報を得るには少々物足りないかもしれません。しかし、全く知識のなかった薬や疾患についてはもちろん読むこと事態が勉強になります。

また、添付文書を患者さんに交付しない理由として副作用情報などを細かく伝えすぎることで不安を感じ服用しなくなってしまう、というものがあります。これは薬剤師が専門的な文書である添付文書の中から適切に情報を選別し、必要と思われる情報のみを適切に患者さんに伝えることが業務のひとつとされているためです。

つまり、薬剤師には情報を選別する能力が必要であり、患者さんにどこまでの情報をどのように伝えていくかという勉強を指導箋から手軽に行うことができるのです。

認定薬剤師を取得して給与アップを図ろう

ここまでなぜ勉強が必要で、日々の中でどのように勉強をしていくかに対してのご提案をしてきましたが、勉強が報酬につながらないとやる気にならない、なんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご存知の方も多いかと思いますが、遂に認定薬剤師が報酬アップにつながる可能性が出てきました。

調剤薬局での話になりますが、平成28年4月から本格的に始まった「かかりつけ薬剤師」制度です。年々薬局で算定できる医療点数が厳しくなっていく中で、70点のかかりつけ薬剤師指導料と270点のかかりつけ薬剤師包括管理料は非常に大きな点数と言えます。

しかし、全ての薬局薬剤師がかかりつけ薬剤師となれるわけではありません。3年以上の薬局勤務経験を有し、かつ同じ職場に半年以上勤務していること。週32時間以上の勤務をしていること。薬剤師認定制度認証機構による研修認定を取得している、つまりいわゆる認定薬剤師となっている。

このような条件を全て満たしてはじめてかかりつけ薬剤師となる資格を得ることになります。そのため、転職直後の方やパート勤務の方などは難しいですが、年数の規定は決して厳しいものではありません。

認定薬剤師はこれまで、特に何かに利用できる資格ではありませんでした。しかし、この制度が始まったことで、eラーニングのサイトに登録した方も多いのではないでしょうか。ブランクがある方は認定を取るために勉強することでスムーズに職場復帰できますし、転職する際も新しい職場で必要な知識の習得が出来ます。会社によっては認定薬剤師を取得することで手当てがつく場合もありますので、更に勉強に身が入ることでしょう。

認定薬剤師として地域密着型の仕事を

認定薬剤師となり、無事患者さんとのかかりつけ薬剤師の契約を済ませても、実はそこで終了と言うわけではありません。かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料を算定するためには、「医療に係る地域活動の取り組みに参画していること」という条件が付与されています。

この要件については制度開始後物議を醸していて、厚生労働省から具体的な活動についての解答が出ました。簡単にまとめると、地域で他職種が連携して行われる会議や行政機関・医療団体・介護団体主催の住民に向けた研修会などに継続して参加したり、行政機関や学校などからの依頼で行う啓発活動や注射針回収、学校薬剤師業務などを継続して行うことなどが「地域活動」として認められるようです。

これから薬剤師はますます患者さんや他の医療従事者・介護関係者とのつながりを深く持って、地域に根ざした業務を行っていくこととなるでしょう。求められえることもどんどん増え、責任と共にやりがいも増していくと考えられます。そんな時代と共に変化していく状況に置いていかれることなく業務を行っていくために、その時々に合わせた勉強を行いながら仕事に臨むことが必要ではないでしょうか。


薬剤師の履歴書の志望動機欄の書き方
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