漢方薬剤師になるには?漢方薬・生薬認定薬剤師の資格取得方法とその近道

漢方薬剤師になるには?漢方薬・生薬認定薬剤師の資格取得方法とその近道

今や医師の8割以上が使用するなど、漢方薬は今日の医療に欠かせません。漢方薬の効果的な服用や他の薬との飲み合わせ、副作用などの知識を持つ漢方薬剤師の需要も高まっています。

漢方薬・生薬認定薬剤師は漢方薬や生薬に関する専門知識を修得し、その能力と適性を備えた薬剤師が取得できる資格です。取得すれば漢方薬局に限らず、一般的な病院や薬局、ドラッグストアでも活用できる価値ある資格です。

漢方メインの薬局で働き、知識と経験を得るのが資格取得の近道です!求人が少なく人気の高い漢方薬局へ転職するには、薬剤師専用の求人サイトを利用するのがオススメです。

漢方薬・生薬認定薬剤師とは、漢方薬や生薬に関する専門知識を修得し、その能力と適性を備えた薬剤師であることを認定する資格で、日本薬剤師研修センターと日本生薬学会によって認定されます。9回の講義研修会と1回の薬用植物園実習を受け、試験に合格することで取得できます。

漢方とは日本人の体質に合わせて日本で独自に発達してきた医学である

風邪のひき始めに飲む葛根湯や花粉症の時期に心強い小青竜湯など、今や日常でも漢方薬はよく使われています。手軽に使える漢方薬が広まっている一方、個人の体質に合わせて調合される本格的な漢方への関心も高まっています。

漢方薬とは「自然界にある植物や鉱物などのうち、薬効を持つ部分を一定の法則のもと、原則として複数組み合わせて作られた薬」とされています。5~6世紀以降に中国から日本に漢方が伝わり、その後は日本の風土・気候や日本人の体質に合わせて発達しました。

漢方は西洋医学とも、また中国の伝統的な中医学とも異なる、日本独自の医学と言えます。今や西洋医学ばかりに偏らず、不定愁訴や未病と呼ばれるちょっとした不調を漢方医学で対応するなど、幅広い医療として浸透しています。

しかし、例えば降圧剤や血糖降下剤は誰が飲んでも一定の薬効を得られるかもしれませんが、漢方薬は服用する人の体質や症状を見極め、本当に合ったものを処方しなければ、効果がないどころか逆に体調を崩してしまうことにもなりかねません。

漢方薬や生薬への深い知識を持ち、患者さんひとりひとりに合わせた、きめ細かい対応ができる漢方薬剤師に憧れる人も少なくないのではないでしょうか?どうすれば漢方薬剤師になれるのか、働く場所はあるのかをご紹介します!

漢方には、医療用漢方と一般用漢方がある

医療用漢方とは、医師の診察の上で処方される漢方薬です。医療用漢方は処方せんに基づいて調剤されるため、調剤薬局で薬剤師から出してもらえる薬、という扱いになります。医療用医薬品として健康保険が使えますが、病院によっては自由診療で漢方薬を処方し、患者の全額負担になることもあります。

一般用漢方は、処方せんなしで購入できる漢方薬のことで、他のOTC薬と同じ扱いになります。登録販売者でも販売可能で、ドラッグストアでも取り扱われています。インターネットでも気軽に購入できます。

医療用漢方も一般用漢方も、含まれる生薬成分は同一のものですが、一日の服用量が異なる場合があります。一般用漢方は使用者が自由に選んで購入・服用できるもので、安全性を考慮して服用量が調節されています。

いずれにせよ、漢方は自然治癒力を高め、根本的な体質改善や体全体の調和を目的として使われます。よって同じ症状や病名でも、患者さんの体質などによっては全く違う漢方薬が使われることもよくあります。

また漢方薬は、慢性疾患や体質改善のための薬だから長期的に服用しなければ効果がない、という印象があります。ですが実際には、こむら返りに使う芍薬甘草湯など、即効性のある漢方薬もあります。

医療用漢方の需要は年々増加の傾向にある!薬剤師としての将来を考えるなら漢方の専門知識を身につけるべき

漢方薬を使用する医師は全体の8割以上にのぼる、というデータもあり、今後もますます有効活用されるでしょう。漢方薬の効果的な服用や他の薬との飲み合わせ、副作用などを的確に服薬指導できる薬剤師の需要も高まると考えられます。

では、漢方薬剤師として活躍するための専門知識を身につけるにはどうすれば良いのでしょうか?まずあげられるのは、日本生薬学会などの学会に所属し勉強の機会を作ることです。

日本漢方協会などはe-ラーニングによる講座も開設していて、効率的に勉強することができます。また、大手の漢方薬局が主催する講座に参加するのも一つの方法です。

ツムラやクラシエなど、大手の漢方製薬メーカーも定期的に勉強会・研究会を開催しています。それぞれの会社のホームページをこまめにチェックすれば簡単に情報が得られるでしょう。

もちろん、それぞれの患者さんに合う漢方を考える上で、臨床の場で経験を積むことが重要なのは言うまでもありません。漢方は診療科目によって、同じ薬でも異なる用途で処方されることがあります。医師の処方意図を考慮した上で患者さんへのヒアリングや服薬指導を行うなど、日頃から意識を持って知識を深める努力が必要です。

漢方薬・生薬認定薬剤師の資格を取るには?

漢方の知識を深めるにあたって、漢方薬・生薬認定薬剤師の資格を取得することは一つの目標、モチベーションになるかと思います。漢方薬・生薬認定薬剤師は、漢方薬や生薬に関する専門知識を修得し、能力と適性を備えた薬剤師であることを認定する資格で、日本薬剤師研修センターと日本生薬学会によって認定されます。

日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が実施する、9回の講義研修会と1回の薬用植物園実習を受けた後、試験に合格することで取得できます。講義研修会は座学、インターネット、ビデオ集合研修から選択できます。

資格取得後は3年ごとに更新し、そのつど研修への参加及び定められた単位の取得が必要です。漢方薬・生薬認定薬剤師の認定証が発行されますが、それを提示すれば患者さんからの信頼も得やすく、自信を持って服薬指導することもできるでしょう。

研修会の受講費は受講形態によって多少変わってきますが、概ね5~6万円ほどで、認定証の発行には別途2万円が必要です。他の認定薬剤師に比べて取得しやすい資格であると言えるでしょう。

一度取得すれば、漢方薬局だけでなく一般的な病院や薬局、ドラッグストアでも充分に活用できる資格です。医師、他の医療スタッフへの助言や連携にも、こうした資格の取得が強みになります。

漢方メインの薬局で働きながら経験を積む事が漢方薬・生薬認定薬剤師への近道

知識を得る方法はいくつもありますが、やはり漢方をメインで扱っている薬局で働くのが漢方薬剤師になるための近道です!認定薬剤師の取得を目指すならなおさら、漢方メインの薬局で経験を積みたいところですね。

薬剤師がカウンセリングして選んだ、一般用漢方のみを扱う漢方薬局は、漢方相談に特化し処方せんは受け付けていません。漢方薬局の薬剤師は患者さんとじっくり会話をし、患者さんの病状や悩みに直接向き立って漢方を処方していくため、とてもやりがいのある職場です。

また、医療用漢方も取り扱いつつ、薬剤師による漢方相談や一般用漢方の販売も行う調剤薬局もあります。一般的な調剤業務に加え、漢方生薬の煎じ薬を作ったり、生薬単味粉末を調剤するなど幅広く経験を積める薬局です。

しかし、このような漢方メインの薬局は個人経営が多く、求人数はとても少ないです。個人で求人を探すのは難しいので、薬剤師専用の転職サイトを用いて案件を見つけるのがオススメです。

また、漢方メインの薬局は総じてやや給与は低い傾向があります。転職サイトを利用すれば、給与の交渉なども専任コンサルタントにおまかせできます。競争率の高い漢方メインの薬局ですが、転職サイトを活用して貴重な求人を見つけましょう!


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