スキルアップを目指してがん薬物治療認定薬剤師になりました
きっかけは薬剤師としてのモチベーションを上げるため
民間の総合病院の薬局で薬剤師として働き始め8年が経ち、気が付けば30代前半になっていました。 仕事には慣れ現場を取り仕切りを任されたり、新人薬剤師の指導などを行う毎日です。 8年働いていると慣れが出てきてしまい新しいこともなく同じような日常のルーチンワークに少し物足りなさを感じていました。
薬剤師の仕事は医師からの処方箋に基づき薬を処方することですが、患者さんとの直接的な関わりも少なくいつも薬局の中で黙々と調剤や検薬を行う日々です。 たまに病棟に出向き患者さんに直接内服指導などを行うこともありますが、一期一会状態で継続的な関わりはなく顔を覚えられるということもありません。 ただ、薬局にこもり薬を調剤するだけの日々に目標を失いかけていたのかもしれません。
学生時代の同期たちは転職や結婚などライフイベントを経験しており、新たな場所で頑張っている人もいれば私と同じように新卒からずっと同じ場所で働いている人もいます。 毎日の業務に物足りなさは感じていますが、転職をして環境を変えたいというわけでありませんでした。 これから薬剤師として患者さんに今まで以上に何ができるのだろう、と考えた時に納得のいく答えが出せませんでした。
薬剤師の役割は薬物の処方だけでなく、患者さんの治療に関わり薬を副作用に気をつけ安全に服用するためのサポートです。 病院の中にこもっていると患者さんと関わる機会の少なさからあまり実感ができていなかったのかもしれません。
自分の役割に悩んでいた時に、上司から「がん薬物治療認定薬剤師」の資格を取るよう勧められました。 認定制度自体はまだ歴史は浅く最近やっと認知度が高くなってきたような資格です。 あまり聞いたことのない資格でしたが、調べてみると薬剤師としてのスキルアップと専門的な知識を深めることができるので挑戦してみることにしました。
がん薬物治療認定薬剤師として病院や地域の医療の場で活躍
上司からの勧めで私はがん治療薬物治療認定薬剤師の資格を取得しましたが、今では病院の薬局だけでなく地域医療の場まで活躍を広げることができました。 病院の薬局にこもっていた時は意識することが少なかったのですが、がん患者は増え続けており患者さんの半分ほどは在宅でがん治療を行なっている人が多く在宅医療でよりよい医療を提供するためにも薬剤師の存在は非常に重要であることを資格をとる間に学びました。
がん薬物治療認定薬剤師という資格はまだ新しく認知度もそれほど高いものではありません。 取得には細かい条件がありますが、私の場合は民間の総合病院でしたががん治療を活発に行なっており症例数もかなりあったことと、上司からの勧めで推薦をもらえたことが認定資格をスムーズに取ることができたと思います。
認定資格取得後、薬剤師として大きく変わったことはありませんが自分に自信を持つことができるようになったことです。 今までは目標を模索しながら業務に携わってきましたが、今では病院の中のがん治療チームの一員として積極的に化学療法による抗がん剤を受けるがん治療患者の治療に携わり、また、在宅でのがん治療でも薬剤指導を行っています。
認定資格を取ったことにより自分のスキルアップと自信につながり、今まで以上に患者さんに薬を通してよりよい医療を提供していきたいという思いが強くなりました。 今では私自身が身につけた薬剤に対する知識を受け継いでいくために新人の育成にも力を入れています。 目標は患者さんに安全に薬剤を提供し治療のサポートを寄り添って行っていくことです。 この目標を私だけでなく病院全体に浸透していけるよう活動しています。
病院勤務 (33歳男性)