高齢者のケアを行う老年看護専門看護師の役割とは？

近年の日本では少子高齢化が深刻な問題となり、高齢者の数が多い高齢社会となっています。

高齢者の数の増加とともに平均寿命は伸び、元気な高齢者も多いですが、中には介護を必要としている高齢者も増えてきているのです。

そんな高齢者のケアを行う看護のスペシャリストである老年看護専門看護師ですが、どのような役割があるのでしょうか？

高齢者のケアを行う老年看護専門看護師とは？

高齢者のケアを行う老年看護専門看護師とは、どのようなものなのでしょうか？

老年看護専門看護師は、高齢者が入院や入所、利用する保健医療福祉施設において、認知症や慢性疾患など様々な健康問題をもつ高齢者のQOLを向上させるために、専門知識を活かして質の高い看護ケアを提供することが役割です。

また、高齢者だけでなくその家族に対しても心理的ケアなどの配慮が必要になります。高齢者の中には、病気の治療を行いながら在宅で生活を送る人もおり、在宅での看護、介護の負担は家族にかかってきます。家族への負担は計り知れないものであり、身体的・精神的な介入が必要になってきます。訪問看護においても、家族が負担と感じないように配慮しつつ、専門看護師として適切なアドバイスや指導を行うことも役割です。

近年では核家族化の問題や高齢者が高齢者の介護を行う老老介護など、高齢者を取り巻く環境は厳しく、老年看護のニーズも多様化しています。また、認知症などの疾患を抱えた高齢者の介護や看護など、身体面だけでなく精神面でのケアが重要になってきています。

そして、老年看護では、疾患の治療などだけでなく、高齢者の尊厳を守りQOLを大切にしながら、いずれ迎える最期の時まで、人として穏やかに過ごせるよう支援を行うことを最重要課題としています。

このように、高齢者の生活のサポートを行ったり、高齢者が最期まで自分らしく生活を送れるよう身体的・精神的な支援を行うのが老年看護専門看護師の役割なのです。

老年看護専門看護師として働くために必要な資格は？

老年看護専門看護師として働くためには、どのような資格や条件が必要になるのでしょうか？

老年看護専門看護師として働くためには、最低限の条件として看護師免許を取得していることが条件となります。准看護師の免許では取得できないため、准看護師の人は看護師免許の取得から必要になるため注意してください。

看護師免許を取得後、5年以上の実務経験とそのうち3年以上は母性の分野での実務経験が必要になります。そして、看護系大学の大学院修士課程において日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準所定の26単位を取得していることが必要です。　

教育基準カリキュラムにおいてCNS共通科目8単位以上を取得し、さらに、専攻分野共通科目・専門科目からの単位取得も必要になります。そして、病院や施設・在宅・認知症の老年看護に関する科目のうち2科目を選択し、4単位、さらに老年健康生活評価・老年と家族看護・老年サポートシステム・老年保健福祉政策に関する4科目のうち、8単位を取得しなければならないなどの決まりがあります。

これらの条件を満たした人が、認定審査試験を受けることができ、合格後に老年看護専門看護師として働くことができます。

現在全国で活躍する老年看護専門看護師は、2016年現在で109名となっています。老年看護専門看護師の合格率は約90％前後と言われています。数字だけで見ると高い合格率ですが、実務研修や教育課程をクリアすることは簡単ではないため、資格の取得には努力が必要です。

老年看護専門看護師の仕事内容や必要なスキルは？

老年看護専門看護師の仕事内容は必要なスキルは、どのようなものがあるのでしょうか？

老年看護専門看護師の仕事内容は、主に高齢者が入院している病院や医療施設、介護老人保健施設、在宅医療などの分野で、高齢者の看護ケアを行なっています。食事や着替え、排泄などの日常生活のサポートなどの看護ケアも仕事の一つですが、看護実践だけでなく専門看護師としての業務は幅広いことが特徴です。

入院患者さんや利用者さんの中には、認知症を抱えた人もおり、そのような患者さんに対しては医療スタッフの調整役として、看護体制の見直しを行ったり患者さんの生活の質を向上させる目的で、理学療法士や歯科衛生士、リハビリや口腔ケアについてのカンファレンスを行います。

また、スタッフや患者さんの家族などから、看護や介護についての相談を受けることもあり、専門家として適切なアドバイスなどが求められます。このように活躍の場は病院内でだけでなく、地域や家族を通して老人への医療の現状や充実の大切さを発信していくことも大切な仕事なのです。

老年看護専門看護師に必要なスキルは、コミュニケーション能力です。老年看護では対象者は多くのことを経験してきている人生の先輩です。相手が病人であっても敬意を持って接することが必要であり、しっかりとした対応が求められます。

また、高齢者の身体的な特徴を理解した上で、状況に合わせた看護ケアの実施が必要になります。高齢者に対する敬意や加齢に伴う身体的変化や高齢者特有の疾患に対する専門知識を持ちつつ、臨機応変に状況に合わせて看護を行うスキルが求められます。

老年看護専門看護師が活躍している職場環境とは？

老年看護専門看護師が活躍できる職場は幅広く、地域に密着した医療を提供している病院などの医療機関です。その地域に住む高齢者も多く利用するため、老年看護専門看護師として活躍することが期待されます。

また、老人保健施設や特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問看護ステーションでも老年看護専門看護師は活躍しています。在宅で生活を送る高齢者とその家族のサポートを行い、安心して過ごせるような看護ケアを提供しているのです。

病院以外にも幅広く活躍できるのが、老年看護専門看護師の特徴でもあるのです。

老年看護専門看護師を募集している求人を探すためには？

老年看護専門看護師として働きたいと考えている人もいると思いますが、資格を取得するまでには100万円以上の費用がかかると言われており、病院によっては資格支援をしてくれないところもあります。

これから老年看護専門看護師の資格を取得して働きたいと考えている人は、補助金制度などがある病院を探すことが良いでしょう。このような補助金制度を行なっている病院は多く見られますが、転職サイトのコンサルタントに相談するのが良い方法です。

また、同様に資格手当の有無や金額なども病院によって差があるので、待遇が良い職場を探す時も相談に乗ってもらえます。

転職コンサルタントは、看護師の転職のプロなので、老年看護専門看護師として働きやすい職場を紹介してもらうことができます。