家族看護のスペシャリストである家族支援専門看護師の役割とは?

家族看護のスペシャリストである家族支援専門看護師の役割とは?

近年では介護や看護のストレスから、患者さんを支える家族が体調を崩してしまうなどのケースが増加しています。

その影響から患者さんもその家族も社会から孤立してしまい、誰のサポートも受けることができずに共倒れしてしまうケースも目立ってきています。

家族支援専門看護師は、そんな患者さんと家族に対してサポートを行う家族看護のスペシャリストです。

家族支援専門看護師とは、病気で療養する患者さんとその家族を対象とした家族看護を行うスペシャリストです。介護問題がクローズアップされてきた最近では、介護を受ける患者さんだけでなく家族へのケアも重要視されてきています。プロフェッショナルな立場から、患者さんとその家族に対して専門的な知識と看護スキルを用いてケアを行いサポートを行います。家族支援専門看護師になるためには、看護師としての実務経験が5年以上、そのうち3年以上は家族看護の分野での経験があることが条件となります。

家族看護のスペシャリストである家族支援専門看護師とは?

家族看護のスペシャリストである家族支援専門看護師とは、どのような看護師なのでしょうか?

家族支援専門看護師は、療養する患者さんとその家族を対象としたセルフケア機能を高めることが主な役割とされています。

家族支援専門看護師は、日本看護協会が定める専門看護師制度の中で特定された、家族支援分野の専門知識や技術を持つ看護師のことを指します。専門看護師は認定看護師と違い、看護ケア全体を最適にして質の高い看護ケアを提供するという役割を担っています。

最近では在宅療養への動きが活発化しており、病院の入院期間の短縮化に伴い在宅で療養する人が増えてきています。在宅で療養するのは患者さんにとっても良いことですが、在宅での介護や看護などの負担が家族にかかってきてしまいます。療養生活を送るうちに家族への負担も大きくなりストレスなどを抱えながら生活を送る人も多いのです。

そのような病気の治療を患者本人だけでなく、家族全体の問題として捉え、それをサポートしていくことで病気の回復を促進していくべきという考え方が基本となり家族支援専門看護師が専門看護師の分野に加わりました。

なお、家族支援専門看護師は2008年の4月に認定を開始した新しい分野であるため、家族支援専門看護師の資格を取得している人は、2017年現在全国で52人と少ない分野となっています。また、資格そのものに対する医療機関の認知度もまだ十分ではないことが多く、資格の認定を受けてもその知識や専門性を十分に発揮することが難しいのが現状です。

家族支援専門看護師として働くために必要な資格とは?

家族支援専門看護師として働くために必要な資格とは、どのようなものなのでしょうか?

家族支援専門看護師として働くためには最低限の条件として看護師免許を取得していることが条件となります。准看護師の免許では取得できないため、准看護師の人は看護師免許の取得から必要になるため注意してください。

看護師免許を取得後、5年以上の実務経験とそのうち3年以上は家族看護の分野での実務経験が必要になります。そして、看護系大学の大学院修士課程において日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準所定の26単位または38単位を取得していることが必要です。

家族支援専門看護師を目指すためには、家族支援分野の設置された大学院での修士課程を修了する必要があります。家族支援専門看護師を養成している大学院は38単位の教育機関が3院、26単位の教育機関が3院の合計6院しかありません。現時点では需要が少ない分野であるため、家族支援専門看護師になるためには、大学院の近くで単身生活を送りながら資格の取得を目指す看護師が多いです。

家族支援専門看護師の合格率は約88%と高い合格率となっており、病院の中から厳選された方だけが資格取得している背景もあり、専門看護師の専門分野の中でも合格率が高いです。資格取得者の数が少ないですが、大学院へ通うことができれば難易度は低く、合格しやすいことが考えられます。

家族支援専門看護師の仕事内容と求められるスキルとは?

家族支援専門看護師の仕事内容と求められるスキルとは、どのようなものなのでしょうか?

家族支援専門看護師の仕事内容は、難病の患者を抱える家族や在宅で看護を行う家族、突然の疾患の発症で不安を抱える家族、終末期の患者を抱える家族などを対象としたサポートです。

このような家族に対して、家族支援専門看護師は直接面談など行い、精神的な負担の軽減に努めます。また、家族の考えなどを医師に伝えることで、双方の調整役も担います。

患者さんとその家族への質の高い看護ケアの提供だけでなく、現場スタッフの指導や教育、スタッフの相談役や他部門との調整役など、家族看護を行う上で中心となって活躍しています。また、病院全体で家族支援の質を高めていくために、スタッフへの勉強会などを行い専門的知識を活かした活動も行います。

家族支援専門看護師に求められるスキルとしては、家族の健康をアセスメントしたり患者とその家族の関係を作ったりする知識や技術、家族に看護の考え方や方法を教えることです。

通常の看護とは違って特殊になるため、家族看護について知識を深めていくことが必要です。家族の形やあり方などは時代によって変わってくるため、時代に合わせて看護のニーズやケアの方法を合わせていくことも必要です。

家族支援専門看護師が活躍できる職場環境とは?

家族支援専門看護師が活躍できる職場環境とは、どのような職場があるのでしょうか?

家族支援専門看護師が活躍できる職場は、主に大学病院や地域の中核となっている病院です。特定の診療科目に配属されるよりも、リンクナースとして所属することが多いのが特徴です。

家族支援に力を入れている病院などでは、家族支援相談室を設けており、このような場合は相談室に常駐したり、相談以外は別室で業務を行なっているというところもあります。

今までは患者さんの治療が第一として考えられ、家族に対するケアは後回しにされたり不十分でした。最近では、在宅医療の推進とともに家族支援の重要さが見直されてきています。家族支援専門看護師はまだ新しい専門分野であるため、資格取得者も少ないですが、今後も家族へのケアや支援の動きは高まって、家族支援専門看護師のニーズも増えてくることが考えられます。

家族支援専門看護師の資格を取得することで、今は職場環境が病院に限られてきていまうが、今後は幅広い活躍が期待できる資格の一つです。

家族支援専門看護師の待遇が良い求人の探し方とは?

家族支援専門看護師の資格を持っていても、病院によって待遇などに差が出てきます。資格を活かして待遇の良い求人の探し方とは、どのようなものがあるのでしょうか?

家族支援専門看護師として資格を活かして働く場合は、資格手当などがつきますが、この手当の金額は病院によって差があります。中には手当が出ないというところもあります。

せっかくキャリアアップのために資格を取得したのに手当が出ないのは、納得がいかないという人も多いです。家族支援専門看護師として資格を活かして働くためには、待遇が良い求人を探すことが必要になります。

待遇が良い求人を見つけるためには、看護師専用の転職サイトのアドバイザーに相談することで、条件にあった求人を紹介してもらうことができます。


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