私は看護師のスキルアップを目指して緩和ケア認定資格を取りました

看護師の認定制度を知ったきっかけは看護学会の勉強会
看護師として働き始めて9年が経ちました。 看護学校を卒業後、配属されたのは慢性期のガン治療をメインに行なっている病棟でした。 新人だった私は分からないながらも必死で先輩ナースに付いていき、気がつけば後輩を教えるほどに時が経っていました。 新人時代は辞めたいと思うことはたくさんありましたが、患者さんとの関わりに楽しさを感じてやりがいも得ていたのでここまで続けてこれたのだと思います。 また、慢性期の看護の面白さを知ったからかもしれません。
私が働いていた慢性期病棟は主にがんの治療を行なっている病棟でした。 患者さんの容態はゆっくり進んでいくとはいえ、末期ガンの患者さんも多く看護師としてケアに対して悩むことも多かったです。 末期ガンの患者さんは余命宣告されている人もおり、自分の死とガンに向き合うことに対していつも自分に「私はナースとして何ができるのだろう」といつも問いかけていました。 患者さんの死は分かっていることですが、やっぱり辛いと感じることも多かったです。
私は慢性期病棟で働く中である患者さんと出会いました。 40代の若い女性の患者さんで私が出会った時には大腸ガンの末期ガンと診断され余命宣告もされており、主に疼痛コントロールのために入院していました。 担当になり若いということもあって話すことも機会も多く親しい仲になり、その人の思いや考えなどを聞くたびに何かできることはないかという思いが募っていきました。
入院中は医療用麻薬で疼痛コントロールを図っていましたが上手くコントロールができず、苦しむ患者さんを目の前に何もできない自分に対して情けなさを感じることもしばしばありました。 薬だけでなく看護師の力で患者さんに何かしてあげられることはないのか、患者さんに接するたびにこんな思いにかられたことを覚えています。 看護師にできることは限られていますが、ガンで苦しむ患者さんに少しでも快適な入院生活を送ってもらいたいという思いだけでした。
ある日、病院の勧めで看護学会が主催している緩和ケア認定看護師の研修に参加しました。 今まで認定看護師の存在を知らなかった私は、興味を惹かれ目指していたものはコレだと思いすぐに調べました。 緩和ケア認定看護師を取ればより患者さんに専門的なケアを提供でき、自身のスキルアップにもなると思い決意をしました。
認定資格を取って看護師のキャリアアップと給料アップ
今となっては看護師の認定資格は広く認知され認定資格を持っている看護師も多いですが、私が目指した当初は認知度も低く周りに認定資格を持った看護師がいませんでした。 認定資格は目指す専門領域の臨床経験が5年以上、医療機関の研修を半年間受け試験を経て資格がもらえます。 半年間の認定研修は患者さんと関わることが好きな私に取っては辛いものでしたが、未来の自分のためと言い聞かせて乗り越えました。
無事に認定資格を取得した私は現在も緩和病棟で緩和ケア専門の看護師として働いていますが、認定資格を取ったおかげで自分に自信がつき成長できたと実感しています。 昔は末期ガンの患者さんの疼痛コントロールがうまくいかず悩んでいましたが、今では専門的知識も身につき正しい対応と看護を患者さんに提供しています。 今では以前より患者さん本人と家族への看護の提供にも重点を置いて看護を行なっています。
緩和ケア認定資格を取得してから変わったと実感したことが2点ありました。 1つは自分自身のキャリアアップが実現した頃により以前よりもチームの主体としてカンファレンスで積極的に意見交換に参加できるようになったことです。 患者さんにより良い看護を提供するために必要なことを積極的に提案しチーム全体で看護を提供しています。
2つめは認定資格を取ったことによってお給料も少しアップしたことです。 認定資格を取得することにより認定取得手当が病院からもらえることになり、自分のモチベーションにもつながりました。 その分、専門看護師としての勉強をし続けて患者さんに良い看護を提供し続ける責任の重さも感じています。
慢性期のガン病棟に配属されて患者さんとの関わりがあったおかげで、専門看護師を目指すきっかけになったと思います。 末期ガンの患者さんとの関わりは患者さん本人のケアだけでなく、その家族との関わりも非常に大切になってくるので常に勉強の日々です。
緩和ケア認定看護師は現在では数も増えてきており認知度も上がってきてますが、ガン患者の数は増えてきています。 医療の進歩によりガンの治療もより良いものになってきていますが、看護師だからできること、看護師にしかできないことがたくさんあります。
よく看護師は社内異動もあり1つの分野で専門的なキャリアを積みにくいという話も聞きますが、認定看護師になることで自分の興味がある分野を極めることができるので私は取得してよかったと思います。 看護師のキャリアアップを目指したいと考えているのであれば、資格を取ることも成長の方法の1つです。

病院勤務 (33歳女性)