人手不足・看護師も医師もイライラの現場から市立病院への転職で残業が減り給与は安く
私は以前、とても過酷な労働を強いる病院で働いていました。就職をしたきっかけは、「24時間、どんな患者でも断らずに受け入れる」という病院の方針に惹かれたからです。
立派に掲げられた理念とは裏腹に、とてもお粗末な院内の実態
その当時は、救急車で運ばれている妊婦さんが受け入れ病院がみつからずにたらい回された結果死亡する等のニュースが取りざたされていました。私が勤務していた病院でも、救急車からの受け入れ要請を拒否したりしており、看護師としての葛藤を抱えていました。そのため、「24時間、どんな患者でも断らずに受け入れる」という方針を掲げ、テレビや雑誌でよく取り上げられていた病院への就職を希望しました。
実際働いてみると、かなり悲惨な病院でした。まず、スタッフの人手が不足しているため、患者に十分なケアがされていません。過剰な抑制や、放ったらかしにされている患者が何人もいました。忙しいため、看護師も医師もイライラしており、患者さんへの態度が雑です。言葉遣いも悪く、敬語を使わずに話したり、時には「どうせなに言ってもわかんないでしょ」というような、患者さんをバカにするような発言も聞かれました。
また、受け入れる病室がないにもかかわらず、緊急入院の患者が次々に入ってくるため、せん妄や認知症などの患者さんはナースステーションにベッドごと置かれ、そこで治療をうけることも多々ありました。患者さんの安全を守るためではなく、意識が不明瞭な患者さんの方がベッド移動しやすいため、移動させ、空いた場所に緊急入院の患者を入院させるのです。
残業も多く、五時間くらい残業することは毎日のようにありました。しかし、残業代は出してもらえません。残業を申請すると、師長の評価が下がるため、申請させてもらえないのです。結局1年程度で退職をしました。本当はもっと早く退職をしたかったのですが、あまりにも早くやめると次の就職にひびくと考えたため、1年間は続けました。
現在、給与は下がりました、残業も殆ど無い私立病院で勤務しています。
給与は毎月手取りで30万程度あり、ボーナスは1年間で5ヶ月分くらいありました。師長は常にベッドコントロールでいそがしく、それ以外の仕事はいっさいしていません。他のスタッフも病院への不満が募っていました。辞める人もたくさんいましたが、病院の理事長に借金をしているスタッフもおり、なかなか辞められないようでした。
現在は、市立病院に勤務しています。給与は安くなりましたが、残業も少なく、患者さんの入退院もはげしすぎないため、気に入っています。「24時間、どんな患者でも断らずに受け入れる」という方針は素晴らしいのですが、それを可能にする施設と人材がなければ悲惨な結果を招くことを学びました。