保育園看護師から訪問看護師の役割に興味を持ち転職する

保育園看護師として働きながら看護師としての仕事に違和感を感じる

看護師としての初めての勤務は私立の保育園での勤務でした。可愛い赤ちゃんや子供達に囲まれて、初めは楽しく仕事をしていました。求人の時に保育園看護師の仕事内容は『園児の保健、医療、健康に関する事全般を管理する事』と言う事でした。ケガや病気になった時の応急処置や普段と様子が違う等の異常をいち早く発見して手遅れにならない様にする事も重要な役割です。年間の保健計画表作成や手洗いうがい指導も役割の一つです。

実際に働き出すと園児の保健業務以外に、保育園行事のお手伝いと言った保育士と変わらない様な事もしなければなりませんでした。子供は好きだからまあ楽しいと言えば楽しいのですが、当たり前の様に赤ちゃんをあやしたりおむつ替えをしなければならない状況で働いていると、自分は本当に看護師なのかと次第に疑問を感じる様になって行きました。強制はされないのですが目の前で人手が足りていないのを見て見ぬ振りは出来ません。

子供達と一日過ごして居ると時間も早く過ぎ去りますし、年間の行事に追われていると一年間もあっという間に過ぎて行きます。保育園勤務の場合土日祝はお休みですし、夏休みや冬休みもあって休暇も十分取れて働き易いと言えばそうなのですが、看護師として何かやりがいの部分で物足りなさを感じる様になっていました。保育園に努めて三年が過ぎた頃ある出来事がありました。

ある園児がケガをして応急処置をし家族の方に連絡を取り病院に連れて行って頂いたのですが、それがきっかけで私とその園児のお母さんとはよく話をする様になりました。園児のお祖父さんにあたる方がＡＬＳ（筋萎縮性側索硬化症）と言う筋力が次第に衰えて行く難病で、症状が進み在宅療養をされていると知りました。訪問看護師に来て貰ってケアを受けていると言っておられました。それからは訪問看護師の役割に興味が出て来ました。

保育園 看護師から訪問看護師の役割にやりがいを感じて働き始める

可愛い園児達とのお別れは寂しかったのですが、保育園は三年で退職しました。訪問看護師になりたかったのですが病院での経験が全くないので、先ずは病院の病棟で二年間勤務しました。訪問看護は看護ステーションから基本一人で在宅患者さんの元へ出向くので傍に医師も先輩看護師もいません。保育園看護師からすぐに訪問看護師へ転職するのは不安が大きかったからです。

現在訪問看護師となって5年になろうとしていますが、訪問看護師の役割りには日々遣り甲斐を感じて仕事をさせて頂いてます。本音を言うと保育園勤務の時と比べてシリアスな病状の利用者さんのケアが殆どですし、寝たきりで日中お一人で生活しておられる方の所へ訪問した時には部屋中が悪臭で満ちている事も有ります。時には看護を超えて介護をしている事もありますし、大変と言えば大変ですが充実しています。

訪問看護師になってからのメリットは、看護師としての医療経験が保育園勤務の時よりも多く持てる事です。そして利用者やご家族の方と一体となって看護をしている実感が持てる事です。人としてのコミュニケーション能力がとても重要な働き方でもあります。人の最期を看取るのはとても辛いですけど、最期身体の清拭とお化粧を終えた時には人の一生の最期に立ち会えた事に誇りを持ってケアをさせて頂いてます。

実は私の祖母も認知症と癌を併発していて手術は見送り、最期を自宅で過ごした様です。祖母の家は離れていましたし、その頃の私はあまり介護などの事にも興味が無かったので知りませんでした。私が訪問看護師になりたいと言った時に母からその事を聞きました。母は祖母が最期まで自宅で穏やかに過ごせていた事に感謝していて、訪問看護の提供がもっと普及すればいいと言っています。

難病などで長期自宅療養を余儀なくされている患者さんや高齢の方のケア体制が、訪問看護師センターからの看護でこれからもっと広く提供される事を願っています。自宅療養をしている方やご家族の方のブログサイト等を読ませて頂いていると、訪問看護師関係の記事が紹介されているのをよく見かけます。出来るだけ自宅で過ごしたい、病院やケアホームには入りたくないと願ってらっしゃる方がいかに多いのかが分かります。

基本訪問看護は緊急以外は夜勤が無いので、子育て中の看護師さんでも働き易いと思います。利用者さんのご自宅に伺う事で、患者さんも心をより開いて下さる様に思います。病院看護では限界がある心のケアもより可能なのではないかと私は思っています。良い方向でこのシステムがもっと拡大すればいいと思います。遣り甲斐の有る働き方に毎日誇りを持って働いています。