災害看護のスペシャリストである災害専門看護師に必要な資格とは?

災害看護のスペシャリストである災害専門看護師に必要な資格とは?

日本は地震大国と言われており何度も大きな地震に見舞われています。地震を体験したという人は多いですが、実際に災害が起きてしまったらどのような支援ができるでしょうか?

多くの人は何もできないという答えにたどり着くと思います。そんな災害時に看護師として活躍できる災害看護専門看護師という認定資格があるのです。

初めて聞いた、知ったという人もいるかもしれませんが、今回は災害看護専門看護師になるために必要な資格について紹介していきますのでぜひ、参考にしてみてください。

災害看護専門看護師とは、大規模な地震や自然災害発生時などに被災地での災害基幹病院や災害拠点病院、災害現場で活躍する看護師のことです。今までの災害発生時は、災害支援ナースという災害現場で支援を行う看護師が派遣されていましたが、2016年に専門看護師として新たに認可された比較的新しい専門看護師の資格なのです。災害支援ナースは1995年の阪神淡路大震災の時に災害看護が発展し、1998年には日本災害看護学会が設立され、日本国内外問わず災害時に被災地に災害支援ナースを派遣する活動を行ってきました。東日本大震災の時には災害支援ナースの数は増え、現在では約7000人ほどが活躍しています。いつ襲いかかってくるか分からない災害に対して現場で専門的な立場から的確に判断やアドバイスができる専門看護師の存在は必要不可欠とも言えるのです。

災害現場で活躍するスペシャリストである災害看護とは?

日本では地震なども多く災害大国とも言われており、いつ災害に襲われるか分からない状態ですよね。そんな災害時に活躍するスペシャリストである災害看護とはどのようなものなのでしょうか?

災害看護とは「自然災害」「人為的災害」「特殊災害」など短時間に局所的に発生した被災地に赴き、被災者の手当や二次災害の防止など、被災地域、被災者に必要な医療処置や看護を提供することです。

自然災害とは、地震や津波、火山爆発、疫病などのことを指し、人為的災害とは、テロや内乱、事故、大型交通事故、特殊災害とは政治的要因による騒動や人道的緊急事態のことを指します。

日本国内ではテロは発生していないものの、自然災害の多い国であるため地震などに対する災害看護の必要性が高まってきているのです。また、日本経済の発展に伴い都市化や人口の過密化など人口が多い場所での災害が発生した場合は、被害も拡大することが考えられるため災害看護のスペシャリストへの需要も増えてきています。

災害における看護師の役割としては、被災地で救助や看護活動を行うにあたって、活動内容によって災害支援ナースの役割も変わってきます。被災地での活動として「急性期」「亜急性期」「慢性期」「静穏期」の4つの過程があります。それぞれの過程に合わせて適切な医療処置や看護ケアが必要になるのです。

災害看護の災害専門看護師になるために必要な資格とは?

災害看護のスペシャリストである災害専門看護師になるためにはどのような資格が必要なのでしょうか?また、資格を取得するための条件とはどのようなものでしょうか?

災害看護の専門看護師になるためには、まず看護師免許を持っていることが最低条件となります。そして、看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位を取得しており、看護師としての実務経験が5年以上あり、そのうち3年以上は災害看護の実務研修があることが条件となっています。

これらの条件をクリアしたら認定審査を受けることができ、合格後に専門看護師認定証を交付され、専門看護師として働くことができます。

認定看護師との違いとしては、認定看護師は6ヶ月の研修を受けることが条件ですが、専門看護師は看護大学の大学院への編入をして単位を取得しなければならないため、専門資格を取得するまでに時間がかかることです。

認定看護師として働けるまでは最低5年、専門看護師を取得して働けるまで最低7年かかるため、認定看護師と比較すると資格の取得が難しいことも特徴です。

また、現在日本で災害発生時に活躍している災害支援ナースは、都道府県看護協会の会員であることや実務経験が5年以上、災害支援ナース養成研修を受けていることなどの条件があり、全国で7000人ほどの災害支援ナースが活躍しています。

被災地で災害看護を行なっている災害支援ナースとは?

被災地で被災者の救助や医療処置などの支援を行なっている災害支援ナースとはどのようなものでしょうか?

2017年4月時点では災害専門看護師は誕生しておらず、主に災害支援ナースが災害現場で活躍しています。国内外問わず、災害が発生した地域への派遣され被災地の支援を行なっています。

災害支援ナースとして活躍するためには、先ほどの項目にあげた条件を満たし、都道府県看護協会が主催する一定の研修を受けて災害支援ナースとして登録をすることができるのです。災害支援ナースの数は約4800人ほどでしたが、東日本大震災を機に約7000人に増加しており、災害への関心の高まりなどにより、登録を行う看護師が増えてきているのです。

災害支援ナースに登録するためには先ほどの項目の条件と研修を受けることが必要で、最低でも5年はかかります。

災害看護を行う災害支援ナースの職場環境とはどのようなものか?

災害看護を行う災害支援ナースの職場環境ですが、活躍の場は災害が起きた被災地になります。被災地には「急性期」「亜急性期」「慢性期」「静穏期」の4つの過程があり、それぞれの時期によって看護の内容も変わってきます。

急性期は発生から3日以内の時期であり、被災者の受け入れ態勢の準備や傷病者の処置、トリアージなどの医療処置が最優先になります。また、傷病していない被災者の健康状態の把握も大切な役割となります。

亜急性期は、災害発生から1ヶ月から6ヶ月の時期であり、高齢者や障害者、子供などに対する精神的なケアなどを行います。また、環境や保健衛生の調査や指導、感染症の調査なども行います。

慢性期は災害発生から2年から3年の時期であり、慢性疾患や感染症に対する看護やトラウマやPTSDなどの精神的なケアがメインとなります。

静穏期は災害発生から3年以上の時期であり、被災地の今後の課題や対応策の検討や減災に向けた行動化などを行います。

それぞれの時期に合わせて適切な判断と看護ケアを提供していくことが、災害支援ナースの重要な役割となっています。

災害看護師として働く職場を見つけるためには求人サイト利用しよう

災害の現場で活躍している災害支援ナースですが、災害専門看護師や災害支援ナースは登録を行い災害現場へ派遣されるという形なので災害支援ナースの募集という形での求人はあまりありません。

災害看護に興味があり災害現場で活躍できる災害支援ナースを目指しているという人は、災害医療センターなどへの就職が近道となります。災害医療センターは災害拠点病院のトップであり、災害発生時には各地に置かれている指定病院のリーダーとして機能をし、行政とも連携して国内の災害医療の中心となっているのです。

災害医療センターなどの災害看護に携わっている求人を見つけるときは、看護師専門の転職サイトをうまく利用することで見つけやすくなります。


小児看護専門看護師を目指している人は必見!必要な資格や仕事内容について
小児看護専門看護師を目指している人は必見!必要な資格や仕事内容について
緩和ケアのエキスパート!緩和ケア認定看護師の資格について
緩和ケアのエキスパート!緩和ケア認定看護師の資格について